Wednesday, October 24, 2012

日本語動詞活用-未然形


Japan wiki の日本語動詞活用未然形の説明は次のようになっている。

未然形: 打消の<-ない>、受身、可能などの<-れる(られる)>、使役の<-せる(さる)>、意思、推量の<-う>などに接続する形。

未然は<未(いま)だ然(しか)らず>で<まだxxない>の意だ。打消の<-ない>はこれでよいが、そのほかの受身、可能などの<-れる(られる)>、使役の<-せる(さる)>、意思、推量の<-う>などに接続を個別に見てみよう。

1)受身、可能などの<-れる(られる)>
2)使役の<-せる(さる)>
3)意思、推量の<-う>

----
 カ行五段活用「書く」の例

1)受身、可能などの<-れる(られる)>

<など>は自発、被害(迷惑)、尊敬だろう。

受身 - この手紙は太郎によって書かれた。
可能 - <てがみ>は<手紙>と書かれるが、トイレットペーパーではない。 可能<書ける>が普通(注)。
自発 - この詩は悲しみのの中で書かれた。(受身とも取れるが、それは英語の受動態の意識の影響)
被害(迷惑) - 中傷の手紙が書かれ、あちこちに送られて困った。
尊敬 - この手紙は先生が書かれた。


可能と自発は<書く>の場合意味の取り方は微妙、悪く言えばあいまい。受身、可能、自発、被害(迷惑)は明確に分類できないことが多い。日本語の特徴ともいえるが、英語の will もよく分からないところがある。

2)使役の<-せる(さる)>

使役 - 太郎に手紙を書かせた。

3)意思、推量の<-う>

この<う>は曲者。

意思の<-う>と推量の<-う>の区別。前回の<日本語動詞活用-意思形、推量形>での説明と重複するが、

カ行五段活用「書く」の例では、

私が書こう。 <書こう> = <書こ>+意思の「-う」だから<意思>という説明は単純すぎる。この用法(書こ+う)で<意思>が成り立つのは主語が一人称に限られる。

1)主語が一人称の場合 - 私が書こう。

2)主語が二人称の場合 - あなたが書こう。

3)主語が三人称の場合 - 太郎が書こう。

2)3)は意思というよりは推量。ただし、普通には

2) あなたが書くだろう。あなたが書くことになろう。あなたが書くことになるだろう。
3) 太郎が書くだろう。 太郎が書くことになろう。太郎が書くことになるだろう。

書く(終止形)+だろう
書く(連体形)+こと+に+なろ+う
書く(連体形)+こと+に+なる+だろう

また、これらは話者の推量だ。 <だろう>は前々回の<だろう>についてで説明した。

二人称、三人称の意思は表せる。

2)あなたが書こうとは思わなかった。
2)あなたが書こうとする内容は理解できない。

3)太郎が書こうとは恐れ入った。
3)太郎が書こうとしてもだめだ。誰も読みはしない。

<書こ->自体に意思、推量の意味があるわけではない。<書こ+う>となって初めて意思、推量の意味がでてくるのだが、<書か->で止めると、<ない>、<かれる>がある程度予測されるのと同じで、<書こ->で止めると<-う>がある程度予測される。動詞活用のポイント。めんどうくさいが、中国語の四声や、英語の三人称の<動詞+(e)s>や<名詞複数形のxxxx(e)s>、ドイツ語の名詞、形容詞の性別、単複別、格別の変化もめんどうだ。このめんどうくささになれないと、言葉はおもしろくなくなる。客観的には、それこそ多様な言葉が同じように聞こえ理解しにくくなるのだ。

書く + ない
書く + れる(られう)
書く + せる
書く + ます
書く + ば
書く + う


さて、曲者の<う>だが、古語の推量の助動詞<む>から来ている。<む>と<う>は発音上代わりやすい。

古語<書かむ> -> <かかう>(発音はおそらく次第に<かこう>にさらに変化)-->現代語<かこう>

意思と推量の違いは微妙で、特に一人称は曖昧だ。

<私が書こう>は意思の意が強ければ意志、推量の意が弱ければ推量。意志と推量のあいだの場合もあるだろう。
 
これは、<書く><書きます>の場合も同じようで、曖昧なところがある。

私は書く。(中性)
私は(必ず)書く。(意思)
私は(すぐ)書く。(近い未来、意思が強ければ意思)
私は書きます。(中性)
私は(必ず)書きます。(意思)
私は(すぐ)書きます。(近い未来、意思が強ければ意思)

二人称、三人称の場合は<意思>が薄らぐ。人ではなくモノの場合は擬人法を除けば意思はない。

ロボットが書こう。
ロボットが書く。
ロボットが書きます。

さて、五段活用は上記の説明でいいのだが、上一段、下一段、カ変、サ変は<う>ではなく、<よう>になる。

上一段 - 古語<見む> --> 現代語<見よう>(<見う>ではない)
下一段 - 古語<寝む> --> 現代語<寝よう>(<寝う>ではない)
カ変 - 古語<来む> --> 現代語<来よう>(<寝う>ではない)
サ変 - 古語<しむ> --> 現代語<しよう>(<しう>ではない)

この<よう>はどこから来たのか?

----
 (注)

可能<書ける>が普通

<書ける>の<書け> は仮定形だ。もし<書け>ば。したがって五段活用の<仮定形+る)> は可能を表すことになる。

行く - 行ける (自動詞)。
読む - 読める

上一段活用の場合<仮定形+る>はダメ。<る>では変化がないのだ。

見る - 見る、見れる、見られる(受身とも、尊敬とも取れる)
起きる - 起きる、起きれる、起きられる。
伸びる - 伸びる、伸びれる、伸びられる (伸ばせる、伸ばせられる、が普通)

下一段段活用の場合は五段活用同様<仮定形+る)> は可能を表す。仮定形と未然形が同じなのでややこしい。

蹴る -  蹴れる。 <蹴られる>は受身、ときにより尊敬
食べる - 食べれる。 (誤用または方言で、<食べられる>が普通(標準)だが受身にもなる。またときにより尊敬。
当てる - 当てれる。  <当てられる>が普通(標準)だが受身にもなる。ときにより尊敬。

サ変

する - すれる(ダメ)。 <することができる>とながくなる。または簡単に<できる>

カ変

来る - 来れる(ダメ)。 <来(こ)れる、られる>でこれは未然形+れる、られる


sptt





























Tuesday, October 23, 2012

日本語動詞活用-意思形、推量形

Japan wiki の日本語動詞活用は次のようになっている。

未然形 打消の「-ない」、受身・可能などの「-れる(られる)」、使役の「-せる(させる)」、意思・推量の「-う」などに接続する形。
連用形 他の用言や多くの助動詞、過去・完了の「-た(だ)」などに接続する形。接続無しで名詞として用いられることもある。
終止形 他への接続無し、又は終助詞に接続して文末で言い切る形。
連体形 他の体言に接続する形。
仮定形
文語では已然形(いぜんけい))
仮定・条件(文語では原因・理由)の「-ば」に接続する形。文語での仮定表現は未然形に「-ば」を接続させた形。
命令形 他への接続無し、又は終助詞に接続して命令を表す形

五段活用の例

カ行五段活用「書く」の例

 未然形のなかに<意思・推量の「-う」などに接続する形>と説明されている。また、<こ>は古語<か>の音便、古語<か+う> --> 現代語<こ+う>なので、<未然形-か、こ>になっているのだろうが、下記のように意思・推量形として独立させたほうがすっきりする。古語と関連を断ち切ることになるが、まさに五段活用になる。


ところで、XX形で分類されているが、問題がある。
未然形、終止形、仮定形、命令形、意思、推量形は<意味>による分類、一方連用形、連体形は<用言><体言>が続くという形態による分類なのだ。 終止形は<意味>で<終わり>、<後に何も続かない>で形態による分類でもよい。実際には終止形のあとに助動詞、助詞が付く場合がある。

<意思・推量の「-う」など>を調べてみる。

カ行五段活用「書く」の例では、

私が書こう。 <書こう> = <書こ>+意思の「-う」だから<意思>という説明は単純すぎる。この用法で<意思>が成り立つのは主語が一人称に限られる。

1)主語が一人称の場合 - 私が書こう。

2)主語が二人称の場合 - あなたが書こう。

3)主語が三人称の場合 - 太郎が書こう。

2)3)は意思というよりは推量。ただし、ふつうには

2) あなたが書くだろう。あなたが書くことになろう。あなたが書くことになるだろう。
3) 太郎が書くだろう。 太郎が書くことになろう。太郎が書くことになるだろう。

また、これらは話者の推量だ。

二人称、三人称の意思は表せる。

2)あなたが書くとは思わなかった。(終止形) あなたが書こうとは思わなかった。
2)あなたが書こうとする内容は理解できない。

3)太郎が書くとは恐れ入った。(終止形) 太郎が書こうとは恐れ入った。
3)太郎が書こうとしてもだめだ。誰も読みはしない。

日本語では基本の終止形で意思をあらわせる。英語もストレス、イントネーションを変えて現在形で意思をあらわせる。

Taro writes.
Does Taro write ?

 -----

未然形 - 打消の「-ない」、受身・可能などの「-れる(られる)」、使役の「-せる(させる)」については別途調べる予定。


sptt








<だろう>について

<だろう>は推測、推定、可能性を示す語だが、語源は不明のようだ。推測、推定、可能性を示す助動詞のようだが、名詞にも形容詞にも動詞にも付く。

1)名詞に付く

事実だろう
うそだろう
ひまだろう。
男だろう  (*)

<男だろう>は推測、推定、可能性の意もあるが(犯人は<男だろう>)、それ以外に<男らしさ>を問うている。一般的には<ふさわしさ><本来の属性>を問うている。微妙だが、状況や発話の仕方によっては、その他も<事実><うそ><ひま>の確認や念押しになる。


2)形容詞(いわゆる形容動詞)に付く
 
若いだろう
古いだろう
汚いだろう
いいだろう
---
静かだろう

形容詞(形容動詞)に付く場合<本来の属性>を問うていることが多いが、推測、推定、可能性も示す。

2)動詞に付く 

来るだろう
いるだろう
あるだろう
雨が降るだろう
雪になるだろう

動詞に付く場合、推測、推定、可能性を示す ことが多いが、状況や発話の仕方によっては、確認や念押しになる。

上記の動詞に付く例文を完了形にしてみる。

来ただろう
いただろう
あっただろう
雨が降っただろう
雪になっただろう

今度は確認や念押しの意味合いが強くなる。


以上から、<だろう>は推測、推定、可能性を示す以外に、確認や念押しや<本来の属性>を問うことができるという二義性(多義性)がある。

----

<だろう>の語源

大胆な推測

推測-1

<だ> - 断定の<だ>
<ろ> - 推定の<らし>
<う> - 意思の<う>

<う>は曲者で、一語一音だけに語源は難しい。これであると、上記の二義性(多義性)の説明がつく。

推測-2

<だ> - 断定の<だ>
<ろ> - 推定の<らし>
<う> - 推定の <う>

推測-3

<だ> - 断定の<だ>
<ろ> - 推定の<らし>
<う> - 可能の<うる><える>

推測-4

<だ> - 断定の<だ>
<ろう> - 推定の<らし>の変化 -->らう、ろう


sptt







<できる>について


<できる>は複雑な言葉だ。

<できる>は<出来る>と書かれるが<でくる>は言わない。<ニキビが出来る>は<ニキビ>が<出て来る>のだ。子供が<出来る>も同じような使われ方だ。<おでき>はそれこそ<出来る>のだ。

一方<可能>を示す<出来る>がある。ただし<出来る>とあまり書かず、普通は<できる>だ。

勉強ができる。
英語ができる。
手品ができる。
なんでもできる。

 この<できる>は助動詞ではなく、動詞には直接付かない。

1)行くことができる。普通は<行ける>。
2)書くことができる。普通は<書ける>。

1)と2)は同じ可能を示すでも、少し違う。1)<行くことができる>は能力というよりは<事情><状況><条件>がゆるすのだ。2)<書くことができる>は<事情><状況><条件>がゆるすというよりは能力があること示す。1)行くことができる、2)書くことができるのような表現は翻訳調だ。英語の can の影響だろうが、can は助動詞だ。

I can study は<勉強ができる>とは意味が違う。I can English (magic, anything) とは言えない。

1)行くことができる。普通は<行ける>は I can go のほかに、 I may go、 I could go とも言え、この場合には<事情><条件>がゆるすという意味になる。

<may>は可能というよりは<可能性><許可>の助動詞だ。<可能>と<可能性>は違う。日本人が好きな maybe も<可能性>だ。<可能>は能力を含むが<可能性>は能力を含まない、英語では probability だ。英語の<できる>もかなり複雑。

中国語では、<可不可以?>と<能不能?>では意味が違う。可能は<可>も<能>も含んでいるのか? さらには<会不会>というのもある。<できる>は中国語でも複雑なのだ。

ところで、ready の訳はふつう<準備ができている>だ。また be ready to で<.....する準備(用意)ができている>になる。これは意味的には可能に近い。Supper is ready は<夕食の用意ができている>だが、I am ready to eat は<わたしはいつでも食べれる>(食べることができる、<食べられる>は受身に解釈されかねない)だ。<事情><状況><条件>がゆるす可能だ。<できている>が可能の<できる>に変わる可能性はかなり高い。


sptt