Thursday, November 28, 2013

分詞構文と日本語の連用形、連体形


1. 分詞構文と日本語の連用形

太郎が来てから花子は出かけた。

この日本語の文章を分詞構文的に理解してみる。前半の<太郎が来てから>が主語付きの分詞構文で主文は<花子は出かけた>だ。分詞構文を使って英語に直してみる。

After Taro having arrived Hanako left.

文法的には間違いないし便利のようだが実際こうは言わないのだ。文章ではこのように書くかもしれない。普通は

After Taro had arrived Hanako left.

英語の場合は時制が厳格。太郎の到着と花子の出発に時間的なずれがあり、英語ではこの差を表している。ただし<After Taro arriving Hanako left.>でも間違いではないだろう。日本語の方は時制に関してはややいい加減で<来から>ですましている。<きてしまってから>とはまずいわない。<て>はつなぎ(これが肝心)の助詞だがを完了を含む助詞と見てもいい。<た>は完了の助動詞、あるいは<た>は連用形がないが<た>の連用形とみてもいい。もう一つ。

太郎は宿題を終えてから遊びにいった。

Taro, after finishing his homework, went out to play.
Taro, after having finished his homework, went out to play.

この二つの英文はこのように発話しておかしくない。一方日本語の方は<終えて>の<終える>に完了の意味があり<て>は連用形に付くつなぎ助詞で、副詞句を導くといえる。さらにもう一つ。

太郎が本を読んでいるところに花子が入ってきた。

Taro being reading a book Hanako came in.

分詞構文(現在形分詞構文)を使って英語に直してみたものだが、英語の時制はややあやしくなっている。先の例と同じで、文法的には間違いないし便利のようだが実際こうは言わない。<Taro reading a book Hanako came in.>は間違いだろう。 <being reading>は<-ing>が重なるのでこのましくないが<Taro reading a book Hanako came in.>とすると<読んでいるところ(とき)に>という意味がなくなる。普通は

When Taro was reading a book Hanako came in.

おまけにもう一つ。

花子は本を読みながら料理をしている。

Hanako reading a book is cooking.

これも文法的には間違いではないがこうは言わず、

Hanako is reading a book while cooking.
または意味は少し違ってくるが
Hanako is cooking while reading a book.

例が少ないが、これくらいにして話を進める。

1)太郎が来てから花子は出かけた。
2)太郎は宿題を終えてから遊びにいった。
3)太郎が本を読んでいるところに花子が入ってきた。
4)花子は本を読みながら料理をしている。

1)と3)は分詞構文部分<太郎が来てから>、<太郎が本を読んでいるところに>の主語と主文の主語が違う。この場合、分詞構文部分の主語は助詞<が>をとる。<は>を使うと

1)太郎来てから花子は出かけた。
2)太郎本を読んでいるところに花子が入ってきた。

となりになり正しい日本語でなくなる。これは文法ルールだろう。ところで、分詞構文部分は名詞句で置き換えられる。

1)太郎の到着後に花子は出かけた。
2)太郎の読書中に花子が入ってきた。

ただし、おそらく日常会話ではこうは言わないだろう。 またいろいろ試してみたが大和言葉ではこの名詞句化ができない。さらにまた、この名詞句化で助詞<の>が出てくるが助詞<が>との近似が見られる。

我(わ)が国、わが友

以上は前置き。本題の分詞構文と日本語の連用形の関係だ。

1)太郎が来てから花子は出かけた。
2)太郎は宿題を終えてから遊びにいった。
3)太郎が本を読んでいるところに花子が入ってきた。
4)花子は本を読みながら料理をしている。

以上の例ではいずれも分詞構文部分の動詞が連用形を取ることに注目したい。

1)太郎が来(き)てから
2)太郎は宿題を終えてから遊びにいった。
3)太郎が本を読んでいるところに花子が入ってきた。(音便なしで言えば<読みて>)
4)花子は本を読みながら料理をしている。

前の方で書いたが、助詞<て>が key だ。 <て>は一般的、代表的(接続)順接の助詞と見られ

次郎は朝起きて、朝飯を食べて、学校に行って、勉強、運動して家に帰ってきた。

と動詞の連用形に付く。<そして>、<そうして>は順接としてよく使い、ほぼ接続詞扱いだ。時間的な順序を強調するときには<xxてから>になるが

次郎は朝起きてから、朝飯を食べてから、学校に行ってから、勉強してから、運動してから家に帰ってきた。

とはいえず、前後二つの出来事をのべるのがせいぜいのようだ。

次郎は朝起きてから、朝飯を食べた。
学校に行ってから、勉強した。
運動して家に帰ってきた。

なお、<から>は動詞の終止形(連体形?、形容動詞は終止形)に付くと理由、原因を表すことになる。これもたいていの場合時間の前後関係が意識されているようだ。もっとも因果関係といえば時間は順方向だ。

いま行くから、待っててくれ。
すぐするから、かんべんしてくれ。
こんなことをするから、しかられるのだ。
---
花子はいつも静かだから、いるのかいないのかわからない。

4)の(接続)助詞<ながら>も動詞は連用形になる。<ながら>は順接とはいえないが逆接、譲歩でもないので、順接グループに入るだろう。ほぼ同じ意味だが助詞<つつ>も連用形をとる。

以上は順接だが、逆接、譲歩の場合はどうか。

逆接は微妙なところがあり、少なくともコントラリ(反対)とコントラスト(対照)の区別は必要だろう。

太郎は行くが、花子は行かない。 - コントラリ(反対)
太郎は今行くが、花子は後(あと)から行く。  - とコントラスト(対照)

いずれの場合にも<は>を<が>に換えて

太郎が行くが、花子は行かない。
太郎が今行くが、花子は後(あと)から行く。  

とは言えない。文法ルール。

また(接続)助詞<が>は動詞の終止形(連体形?)をとる。英語であえて分詞構文にすると

太郎は行くが、花子は行かない。
While Taro going, Hanako does not go (will not go).

太郎は今行くが、花子は後(あと)から行く。
While Taro going now, Hanako goes (will go) later.

となり接続詞 while が必要のようだ。もっともこうは言わないだろう。文法的に間違いか。

While Taro goes, Hanako does not go (will not go).
While Taro goes now, Hanako goes (will go) later.

譲歩の場合も英語では分詞構文は使わず、ちゃんとした複文になるようだ。

太郎がどんなに努力しても英語では花子にかなわない。

No matter how hard Taro studies he cannot beat Hanako in English.
<No matter how hard Taro studying cannot beat Hanako in English>はダメ。

譲歩の助詞<ても>は<努力し>で動詞は連用形になる。<太郎がどんなに努力しても>は日本語では分詞構文と言える。構造的には分詞構文という言い方だが、意味内容を考えると副詞句だ。


2. 分詞構文と日本語の連体形

英語では現在分詞、過去分詞、特に過去分詞が活躍するが、日本語文法では<分詞(particles)>という見方はない。ないが、相当活躍しているといえる。

Taro is interested in mathematics.

この文で interested 過去分詞になっているが

Taro interested in mathematics does not like English Grammar.
(Taro being interested in mathematics does not like English Grammar. とはあまり言わない)

では interested は形容詞とも過去分詞とも言える。英語では形容詞は原則として名詞の前に来て名詞を修飾するので、interested が名詞の後に来る場合は分詞といったほうがよさそうだ。 名前は過去分詞だが

<Taro interested in mathematics >

は<数学に興味があった太郎xxx>とはならない。これは

Taro interested in mathematics did not like English Grammar.

と換えても、

英語でも<数学に興味があった太郎英文法がきらいだった>とはならないようだ。

この辺は日本語の方が理論的、かつ便利に出来ているようだ。

数学に興味がある太郎
数学に興味があった太郎

<ある>を<あった>に変えるだけで<現在>分詞が<過去分詞>(過去を表す分詞)になる。

ここで<ある>、<あった>を分詞と表現したが、日本語では動詞<ある>、助動詞<た>の連体形だ。 あまりに簡単なために便利さに気づいていないようだ。

なお、interesting は形容詞とも現在分詞とも言える。形容詞(an interesting book)の場合はいいが、
現在分詞の場合は元の動詞 to interest (興味を抱かせる)の能動的な意味がないとダメだ。

This book interesting me is very expensive.

となるが、こうはまずこうは言わず、関係代名詞を使って

This book which interests me is very expensive.

となる。関係代名詞がない日本語では、翻訳調になるが

私に興味を抱かせるこの本は値段が高い。

となる。<抱かせる>の<せる>は助動詞<せる>の連体形だ。構造的には関係代名詞がない分

This book interesting me is very expensive.

に近くなる。


順序が最後になってしまっが、 現在分詞でよく使われるのは<同格>用法だ。

Taro, being a school boy, does not like studying very much. は関係代名詞を使った

Taro, who is a school boy, does not like studying very much. とほぼ同じ意味だが、

現在分詞の方が文章語法で関係代名詞を使ったほうがどちらかといえば口語的で、実際このように言う。訳文的日本語は

学生(生徒)である(ところの)太郎は勉強があまり好きでない。

<学生(生徒)の太郎は勉強があまり好きでない>はややおかしい。


sptt






















Friday, November 1, 2013

日本語の<から>、英語の<from>、イタリア語の<da>、ロシア語の<から>


1.日本語の<から>、英語の<from>の用例

上から下まで    from the top to the bottom
東京から大阪まで    from Tokyo to Osaka
一から十まで    from one to ten
9時から5時まで    from nine (o'clock) to five (o'clock)
右から、左から  from right、 from left
----

たぬきが穴から出る、が普通だが
たぬきが穴を出る、も可能
花子が部屋から出る、が普通だが
花子が部屋を出る、も可能。
花子が東京から出る。
花子が東京を出る、も可能で、かつよくこのように言う。

<から>と<を>の違いは何か?

英文法的にいえば<を>は直接目的語を示す助詞で動詞は他動詞をとる。だが<出る>は自動詞のようだが、<入る>と同じく、<を>もとり他動詞のようにも使う。(*) <を>をとる<出る>は<去る>の意に近くなる。特に最後の<花子が東京を出る>は<花子が東京を去る>とほぼ同じ意で使える。<花子が東京から去る>とはあまり言わない。

英語の場合、上記の<XX から出る>は<出て行く>とも<出て来る>ともとれ、to go out of xx (from ではない)、 to come out  of xx (from ではない)で、日本語と構造が異なる。<出る>を純粋に解釈すると、to be out (出ている)、to come out、to go out、で<out>のほうに<出る>の意があり、<から>はなぜか<from>ではなく of というか、out of で<から>になる。これは英語の特徴と言える。<to go>、<to come>はいづれにしても自動詞。一方<to leave>(去る)は他動詞として使える。

(*)<を>をとる<入る>の例 (かなり前のポスト<日本語の自動詞、他動詞-2>コピーに少し手を加えた)

トンネルにはいる。
トンネルをはいる。
門をはいる。(門にはいる、はダメ)
入り口にはいる。
入り口をはいる。
玄関にはいる。
玄関をはいる。
家にはいる。<家をはいる>とも言いそう。
家の中にはいる。<家の中をはいる>はまったくダメ。

これまた<に>と<を>の違いは何か?
----

日本の家は木と紙で出来ている、が普通だが
日本の家は木と紙から出来ている、も可能
水は水素と酸素から出来ている(なる)、が普通
水は水素と酸素でできている、も可能。
水は水素と酸素でなる、は間違いではないがまずこうは言わない。

英語の場合

 a Japanese house made of wood and paper
water made of hydrogen and oxygen

で<of>をとり<from>はとらない。さらに<by>や<with>もダメだ。
 ----

AをBから得る(もらう)

to get (gain) B from A

XX から得られる情報、XX からの情報、

AをBから取る(盗む、奪う)

to take A from B はいいが
to rob A from B  は間違い(英語の試験ではバツ)で
to rob B of A  としなければいけない。 <盗む、奪う>から奪格が思い浮かぶが、<of>は基本的には属格の意の前置詞。
 ----

XX からすると、見ると、察すると、判断すると
from the point of view of XX、judging from XX

私の見方では(私の見方からは、はダメ。私の見方からすると、はいい)
from my point of view、

私の基準では(私の基準からは、でもよさそう)
by my standard (from my standard はダメ)
----

この事故は不注意からだ(来ている)。( 不注意による)。
遅れたからしかられるのだ。
だから XXX

以上の<から>は原因や理由を示す<から>と言える。

英語では due to や because (of) が使われるが、be derived from で由来、原因や理由は示せる。

一般的には<から>や<>は<XX (中)から(出てくる)>の意味fだ。<XX から YY まで>の場合は<まで>との対比で基点、始点を示す。

2.イタリア語の<da>

イタリア語の<da>は基本的には前置詞の<から>だが多用で、個々に覚えて使い慣れ、自然に口から出てくるようなる必要がある。

 Reverso English- Italian

da
 
prep
da + il= dal, da + lo= dallo, da + l'= dall', da + la= dalla, da + i= dai, da + gli= dagli, da + le= dalle


a.  (agente, mezzo) by
fare qc da sé   to do sth (for) o.s.
dipinto da un grande artista   painted by a great artist
riconoscere qn dal passo   to recognize sb by his (o her) step 

da = by

は<xx よって>出てくる、できてくる

と考えればda = by はおかしくはない。

b.  (causa) tremare dal freddo   to shiver with cold
morire dallo spavento   to die of fright 
 
日本語では原因は<xx で、with xx>が普通。<xx のために、xx により、 because of xx、due to xx >もよく使う。<xx から>でも通じるが、あまり使わない。 

c.  (provenienza, distanza, separazione) from , (fuori di) out of, (giù da) off
a 3 km da Roma    3 km(s)from Rome
arrivare da Milano   to arrive from Milan
da dove vieni?   where do you come from?
l'aereo parte da Gatwick   the plane departs from Gatwick
scendere dal treno    to get off the train
staccarsi da qn   to leave o part from sb
toglitelo dalla testa get it out of your head
uscire dalla scuola to come out of school
 
provenienza = origin, source
giù da  -  giù = down   <giù da>の例文はない。

これは基本的に場所の<から>の意だ。
 
説明略。 

d. (stato in luogo) at , (presso) at, with
abita da quelle parti   he lives somewhere round there, he lives in that area
ti aspetto dal macellaio   I'll wait for you at the butcher's
sono da Pietro   I'm at Pietro's (house)
vive da un amico   he's living at a friend's o with a friend 
 
一般的にはイタリア語 a = at。press の意味は near (近くで、に)。副詞と前置詞用法がある。at と near の違いはあるが、この da の用法は慣れないと使えない。

e. (moto a luogo) to , (moto per luogo) through
questo treno passa da Genova    this train goes through Genoa
è uscito dalla finestra    he went out through o by (way of) the window
vado da Pietro/dal giornalaio   I'm going to Pietro's (house)/to the newsagent's
 
moto = movment
 
to と from (da) では大違いだ。一般的には to = イタリア語 a で、上のa = at と関連があろう。 日本語では<xx のもとに行く>という言い方がある。
 
普通は andare a だ。

andare a casa to go home
andare a letto to go to bed
andare a Roma to go to Rome

f. (tempo, durata) for , (a partire da, nel passato) since, (nel futuro) fromda allora   since then
vivo qui da un anno   I've been living here for a year
è a Londra da martedì   he has been in London since Tuesday
da oggi in poi   from today onwards
d'ora in poi o in avanti   from now on
da quando sei qui   ince you have been here
sono qui dalle sei    I've been here since six o'clock 
 
説明略

g. (qualità, caratteristica)
una ragazza dai capelli biondi   a fair-haired girl, a girl with fair hair
un vestito da 300 euro    a 300-euro dress
un ragazzo dagli occhi azzurri   a blue-eyed boy, a boy with blue eyes
sordo da un orecchio   deaf in one ear
è una cosa da poco    it's nothing special 
 
これはイタリア語特有の言い方だ。英語では <with xxxx>だ。Communism with Chinese characteristics というのがあるが、内容からしてイタリア語では with ではなく da を使うだろう。
 
h. (modo) like
trattare qn da amico  to treat sb like o as a friend
non è da lui   it's not like him
comportarsi da uomo   to behave like a man
è da vigliacchi fare così    that's a spineless way to behave

説明略 
 
 i.  (predicativo) as
da bambino piangevo molto   I cried a lot as a child o when I was a child
da giovane   as a young man (o woman)
fare da guida   to act as a guide
fare da maestro    to act as a teacher
fare da padre a    to be a father to
da studente     as a student

これも da の特有の使い方だ。冠詞がないのに注意。由来(から)と言うよりは資格、属性の様(さま)。

j.  (fine, scopo) 
cavallo da corsa   racehorse
macchina da corsa   racing car
vino da pasto   table wine
abito da sera   evening dress 
 
これも da の特有の使い方だ。冠詞がないのに注意。由来(から)と言うよりは目的、用途。<xx のための>とすれば次の da と関連がある。

k.  (seguito da infinito, consecutivo) that (spesso omesso) , (finale) to
casa da affittare   house to let
qualcosa da bere   something to drink
qualcosa da mangiare   something to eat
ero così stanco da non stare più in piedi    I was so tired (that) I couldn't stand
casa da vendere   house for sale 
 
これは重要。使えるようにならないといけないし、使えると便利。

casa da affittare   house to let   貸し家
qualcosa da bere   something to drink    (何か)飲み物   
qualcosa da mangiare   something to eat   (何か)食べ物
ero così stanco da non stare più in piedi    I was so tired (that) I couldn't stand 
英語だと<so xx that 構文>。
casa da vendere   house for sale  売り家

中国語は並び方は英語、イタリア語の<モノ + to (da) + 動詞>だが間の <to (da)>がなく、省力化が進んで <モノ +  動詞>で名詞と動詞を並べるだけだ。

l.  da... a... from ... to ...
contare da 1 a 10  to count from 1 to 10
dalle 3 alle 5 from 3   to o till 5 (o'clock)
c'erano dalle 30 alle 40 persone   there were between 30 and 40 people there
è cambiato dall'oggi al domani   he changed overnight 
 
xx から yy まで


3.ロシア語の<から>を見てみる。

Russian Lessons Net (http://www.russianlessons.net) に<最多使用頻度100語(Top 100 Russian Words Russian Language Lesson 17)>というのがあり、この中のロシア語の<から>の解説を使わしてもらう。これは初歩ロシア語学習には読解力向上の近道(語学学習に王道あり)であるのみならず日本語文法を考えるのにも役に立ち、まさに一石二鳥。特に<から>に関しては英語の<from>はロシア語の異なる3語に相当すると何度も述べている。

1)最多使用頻度 第8: С (со) - With, from

With の意の C (こちらの用法の方が多い)は省略

"С" means "from" when it is followed by the genitive case. "С" (from) is the opposite of "на" (to). You should use the preposition "с" to translate 'from a place' when you would use "на" to mean 'to a place'.

Ветер дует с севера.The wind is coming from the north.
Она прислала мне открытку с Майорки.She sent me a postcard from Majorca.
Вам придется брать деньги с кого-то еще.You’ll have to borrow the money from someone else.
Он взял книгу со стола.He took a book from the table.
いわば<場所から>のから。<Ha>との対比が意識されている。


2)最多使用頻度 第26: Из - Out of, from


"Из" can mean 'out of' or 'from'. Из も genitive case をとる。

Яблоко выкатилось из мешка.An apple rolled out of the bag.
Кофе-машина вышла из строя.The coffee machine is out of order.
Платье было сделано из бархата.The dress was made out of velvet.
Девять из десяти человек сказали, что им понравился продукт.Nine out of ten people said they liked the product.
Никто не получил 20 из 20 в тесте.No one got 20 out of 20 in the test.

以上の五つのれいはさらにいくつかに分けられそう。

a)<XX の中からのから出てくる、現れる>のから
b)<XX からはずれる>のから
c)<材料、構成、由来を示す>から。材料、構成は日本語では<で>も使われる。<XX できている>。
d)<選択(XX から)>のから

3)最多使用頻度 第36: От - From


"От" is one of the Russian words that translates to 'from'. "От" is usually used with the genitive case. "От" (+genitive) is used when receiving something from someone, 'from a person'.

Я узнал об этой книге от Ивана.I learned about this book from Ivan.
Я получил имэйл от Анны.I received an email from Anna
От этой кошки пахнет рыбой.From that cat comes the smell of fish.
いわば<XX から受け取る>の<から>。
Other expressions that still mean 'from a person' or 'from a persons place' also use "от".
Прошлым вечером мы возвращались домой от друзей.Last night we got home from friends.
он ушёл от женыHe left his wife.

いわば<ひとの場所から>のから。

Expressions of distance commonly use "от". Note that construction "от ... до" is used to express distance from one place to another.
От моря до нашего дома пять километровThere is five kilometers from our house to sea.
На прошлой неделе я проехал от Минска до Москвы 950 километров.Last week I drove from Minsk to Moscow, 950 miles.
Мы живем в нескольких милях от города.We live a few miles from the city.

いわば<場所の XX から YY まで>の<から>。

С (со)、Из、От いづれも 奪格ではなく genitive case (属格)をとるが何かわけがありそう。もっともロシア語では奪格というのがな造格 (Instrumental Case の訳)または 前置詞格が相当するようだ。


sptt

Sunday, October 27, 2013

<すます>、擬似完了動詞


前回のポストで<完了>の補助助詞<しまう>について書いた。<すます>も面白い動詞で、<しまう>以上に慣用用法が多く、これまた相当こなれた動詞だ。語源上はにごりや不純物がなくなってきれいになる、の意の<すむ(澄む)>も同じグループ。

<すます>は漢字を使うと<済ます>で<済>の字から<xx を終わりにする>、<xx の決まりつける>の意が強くなるが、かなりの多義語だ。

1) xx を終わりにする、xx の決まりつける、完了の意味がある。

借金の返済をすます。
借金の返済をすました。(過去、あるいは過去の完了)。<借金の返済をした>とは明らかに違う。
夕食をすます。
夕食をすました。(過去、あるいは過去の完了)。<夕食をした>とは明らかに違う。

2)擬似完了

a)とりえず XX を終わらしておく(の決まりつけておく)。 実際には(事実上は)終わっていない(決まりが付いていない)。これを<擬似完了>とする。

b)とりえず XX で間に合わせておく、XX したことにしておく、の意。これも 実際には(事実上は)終わっていない(決まりが付いていない)の意があり、基本的には擬似完了だ。

以上の説明で<おく>という動詞をなんどもつかっているが<おく>はアスペクトのからむ日本語の重要動詞。

<すます>はさらに発展、派生して

xx になりすます

という表現があるがこれも擬似完了といえる。

太郎は悪いことをしてもすましている(すました顔をしている)。
花子はいつもツンとすましている。

という表現もあるがこの2例は<済む>と<澄む>の二つの意が重なり合っているようだが、いづれのしても大和言葉では<すむ>だ。

といった表現があるがこれらもも擬似完了といえる。 


擬似完了からの派生に<すみません>、<すまない>がある。

<すみません>は社会生活できわめてよく使われる言葉だ。分解すると

<すむ>の連用形<すみ> + <ます>の未然形<ませ> + 否定の<ん>(<ない>の音便か?)。

男性は簡潔な<すまない>もよく使うが、これは<すむ>の未然形<すま>+ 否定の<ない>の終止形。

したがって<すみません>、<すまない>は<すむ>の否定形だ。<すむ>の否定、とはいったい何か?

1) xx を終わりにする、xx の決まりつける、完了の意味がある。

の否定とすると、

xx を終わりにしない、xx の決まりつけない、の意になる。また完了の意味がなくなる

一方、2)の擬似完了の否定とすると話がややこしくなるが

a)(とりあえず)XX を終わらしておかない(の決まりつけておかない)の意。

b)(とりえず) XX で間に合わせておかない、の意。

<すみません>、<すまない>には1)と2)の両方の意味がありそう。

a)(とりあえず)XX を終わらしておかない(の決まりつけておかない)の意で、時間的にまだ終わったわけではない、の意を相手に伝えている。

b)(とりえず) XX で間に合わせておかない、の意で、 実際には(事実上は)終わっていない(決まりが付いていない)ことを相手に伝えている。

 a)にしても b))にしてもシリアスな発話だ。これは漢語由来の<失礼(しました)>と比べれば雲泥の差だ。

ちなみに中国語では<すみません>は<对不起>が対応し、<失礼(しました)>は最近はやりだした<不好意思>(広東語の影響)が対応するようで、<对不起>の方は<对>(正しいこと)が<立たない>の意味からしてシリアスで、対人関係、さらには正義感が関係してきており、<すまない>と合い通じるものがある。

ところで、英語の I am sorry. は個人の感情表現になっている。


sptt












Friday, October 25, 2013

<しまう>、完了の補助動詞


だいぶ前のポスト<する、やる>で次のように書いた。


<始末>意味からしていかにも漢語のようだ。発音も現代中国語で<shi-mo>、 広東語で<zhi-mat>。ただし、中国語圏で使われているのを聞いたことがはない。たぶん、日本語では他の漢語<顛末>の意に近い。かなりの推測だ が、<始末>おそらく<仕まう>と関連がありそう。<始末する>は<処理する>、<終わらす>だ。<始末が悪い>は<処理に困る>といった意味だ。<仕ま う>の関連語に<収める>がある。<仕舞う>の<舞う>は不適当。



<しまう>についてもう少し考えてみる。

本動詞としては

1.<やめる>、<おえる>、<おわらす>の意で他動詞。対応する自動詞はなさそうだが<閉める>の自動詞形<閉まる>が対応しそう。



店をしまう - 1)閉店する(繰り返しの行為)と、2)商売をやめる、の意がある。<閉める>。
店がしまる (自動詞)

<しまう>の連用形は音便で現在は<しまって>だが、昔はあるいは地方によっては<しまい>で、この連用形の体言(名詞)化<しまい>は今でもよく使う。



店<じまい>
今日の授業はこれでお<しまい>にする。
<しまい>には怒り出した。


2.中にいれておく、収める、の意だが<閉める>行為、動作がからんで<外から見えないようにしておく>といった意味が内包されている。



金を金庫にしまう。

ただし大事なものを<しまう>場合には念入りに<しまっておく>という複合動詞用法が多いようだ。

金を金庫にしまっておく。
これは秘密だから心の中にしまっておいてだれにも言うな。

<しめる(閉める)>は関連語には<閉まる>、<締まる>、<締める>、<占める>があるが、大和言葉(漢字をつかわなければ)いずれも<しまる>、<しめる>で、大きく考えれば、あるいは一般化を進めれば上記の1)と2)の意味に関連してくる。また<しまう>、<しまる>、<しめる>は

これは<しめ>たものだ。
しめしめ
しまった

と慣用的用法があり、相当こなれた言葉で、<終わる>、<終える>はよそよそしいところがある。

(またアクセントは違うが<湿る>がある。この<湿る>の関連語には<しむ(染む)>がある。)


さて、手元の辞書によると、<しまう>には上記の<本動詞>以外に<補助動詞>の意味、用法がある。

基本的には<しまう>に完了という文法上大きな意味があり<補助>を超えてアスペクト形成の働きがある。

接続をみると

してしまう - し終える
食べてしまう - 食べ終える
読んでしまう - 読み終える
書いてしまう - 書き終える

のように、<しまう>は<動詞の連用形(音便化する場合がある>+<て>につく。一方<終える>は<動詞の連用形(音便化がない>につく。<て>は過去(または完了)の助動詞<た>と関連があり、<XXてしまう>は形態的に完了の強調と言える。

意味も少し違う。

<し終える>、<食べ終える>、<食べ終える>、<書き終える>があらたまった(よそよそしい)感じがする以外に完了とはいいながら<終えるまで>の経過が含まれていて継続的、<線的>な感じがするのに対して<してしまう >、<食べてしまう>、<読んでしまう>、<書いてしまう>は<終えるまで>の経過は考慮されずに完了が強調されており、<点的>な完了の感じだ。

<しまう>の面白いのは、時制をからめるとある意味で意味が逆転する場合があることだ。

現在(未来)の場合(日本語では現在形で未来をあらわす/せる)

してしまう、やってしまう、書いてしまう、見てしまう、捨ててしまう、食べてしまう

中立的な<終わらせる>でも使うが、<終わらせよう>という意図が含まれている場合が多い。

過去

してしまった、やってしまった、書いてしまった、見てしまった、捨ててしまった、食べてしまった

現在と同じように中立的な<終わらせるた>でも使うが、<終わらせようとした>という意図が含まれておらず、むしろ意図に反して<終わった>の意が加わる。

これはどういうことか?<しまう>が補助ではなく重要な動詞であるわけがここにないか?

アスペクトとも関連してくるが、完了(終わる、終わらせる)には成功、不成功の区別が往々にしてある。ロシア語はこの辺(完了、成功、不成功のアスペクト)が発達しているようだが、中国語にもある。

买(買)得到 - 買った。買えた(完了、成功)。
买(買)不到 - 買わなかった。買えなかった(完了、不成功)。

戒得到煙 - 禁煙した。禁煙できた。禁煙に成功した。
戒不到煙 - 禁煙しなかった。禁煙できなかった。禁煙に成功しなかった(失敗した)。

日本語の場合結構いい加減で、<買った>が中国語のゲンミツな観点からは実際には<買えた>の意味の場合がある。一方<買わなかった>と<買えなっかた>、<禁煙しなかった>と<禁煙できなかった>では大きな意味の違いがある。

中国語に慣れていない人のために、ゲンミツにいうと、

xx を買った - purchased (bought) xx
xx買えた    - was (were) able to purchase (buy) xx

英語も日本語に近く、成功不成功を強調しなければ Hanako purchased the dress which she (had) liked. で<花子は好きなドレスを買った>とも<花子は好きなドレス買えた>ともなる。<花子は好きなドレス買えた>はまちがい。<が>の対格用法。

1)禁煙した - stopped smoking

日本語や英語ではこれで<禁煙できた>の意を含むことができるがゲンミツにいうと、

2)禁煙できた - was (were) able to stop smoking

となる。ただし、 、成功不成功を取り立てて言わない場合は1)を使う。

ところで、<しまう>の<し>はいいとして、<まう>はいったい何か?<まる>の音便といえそうだが、別のポストで書いた<みまう(見舞う)の語源>、<ふるまう(振る舞う)の語源>(*)の<まう>と関連はないか?
 

(*)
sptt やまとことばじてん:<ふるまい>の語源
sptt やまとことばじてん:<見舞う>の語源

sptt







Saturday, October 5, 2013

日本語文法とロジック - 5, 接続詞


前回のポスト<日本語文法とロジック - 4, 接続助詞>の続編。前回<英語ではロジック用の語は接続詞だが、日本語では多くは接続助詞で間に合う>と書いたが、英語の接続詞を翻訳しようとすると日本語でも接続助詞ではなく接続詞を使おうとするようで、話や文章が長くなりまた翻訳調になる。

英語の接続詞の代表は

1)ロジック関係

and - また
(and) then - それから、それに
besides - さらに、加えて
or  - または、あるいは、もしくは
so - それで、したがって、(そう)だから
therefore - したがって、(こう、そう)なので、(こう、そう)だから
but - が(しかし)、だが、しかし、しかしながら、ところが
however - しかし、しかしながら
nevertheless - しかし、しかしながら
though、although XX - XX だが、XX にもかかわらず
(if XX) then  - (もし、かりに)XX なら(ば)
if  - もし XX なら(ば)
as XX - XX(な)ので、だから
since XX - XX(な)ので、だから
meanwhile  - さて、ところで
because  XX - XX (な)ので、(だ)から、なぜなら XX なので、だから

2)時間関係

then - それから
after XX - XX のあと(に、で、から)
before XX - XX のまえ(に、で、から)
when XX - XX(の)とき(に)
while XX- XX(の)間(に)

besides、therefore、however、except、meanwhile、because を除けばもともと一語の語に近く、それ自体狭義の明確な意味はなく日本語の助詞に近い。一方日本語の方は<また>と<が>を除けば一語の語はない。

その他にロジック関係では、英語では上記の however グループの

whatever
whoever
whereever
whenever
whichever

があるが however ほど独立しては使われず従属(副)文、節用だ。

二語になるが

even if XXX - (かりに、たとえ) XX だとしても
even though XX -(たとえ) XX でも

三語になるが

no matter what
no matter who
no matter where
no matter when
no matter how


ロジック用の日本語は多くは接続助詞で間に合うのだが日本語の接続詞は英語より多いといえる。漢文調でも大和言葉が使われているのがおもしろい。

やや古風な日本語の接続詞

1)ロジック関係

and - かつ、かつまた
(and) then - しかして
besides - くわうるに
or  - さもなくば、しかざれば
so - それゆえ、かくなるうえは
therefore - ゆえに、それゆえ(に)、しかるがゆえ(に)
but、however、nevertheless - さりながら、さはありながら、しかれども、あにはからんや
though、although XX - XX といえども、XX なれども
if XX then  - もしや XX なれば
if XX at least then  - いやしくも XX なれば
if so  -  しからば, さすれば
even (if) not so - さなきだに
as XX - XX なるゆえ
since XX - XX なるゆえ
meanwhile  - 時(とき)に
because  XX - XX ゆえに


2)時間関係

then - のちに、しかして、しかるのち(に)
after XX - XX したるのち(に)
before XX - XX せんとするまえ(に)
when XX - XX せる(せし)とき(に)
while XX- XX せる(せし)間(ま)に



sptt



Monday, September 23, 2013

日本語文法とロジック - 4, 接続助詞


格助詞が<語と語の関係を示す>助詞であるのに対して、接続助詞は<句と文、文と文の関係を示す(句と句だと文にならない)>いわばロジック用の助詞だ。英語ではロジック用の語は接続詞だが、日本語では多くは接続助詞で間に合う。接続助詞はほとんど一語または二語(これまた一語助詞の組み合わせ)と簡単なため軽く見られがちだが、役割の重要性とを見た目やごく短い発音でごまかされてはいけない。

数学はロジック自体を扱うが物理、化学、医学などの科学は実験で客観的に因果関係を実証する学問。言語学は科学的に実証するというよりはある特定の言語の形態(様子)の分析学。ただ、数学にしても、物理などの純科学にしても、はたまた言語学自体、内容の記述、説明には主に言葉が使われる。記述、説明が論理的(ロジカル)でないと、聞き手、読者は混乱する。基本的なロジックは因果関係だが、その前に簡単だが重要なロジックからはじめる。

or と and

A or B    A か B、A とか B、A や B、A または B、A あるいは B、A ないし(は) B
A and B   A と B、A に B、A および B、A ならびに B、A かつ B、A なおかつ B

ロジックらしくくどくいえば

either A or B    A か B か、A か あるいは B か、A かまたは B か、 
               A か B か のどちらか
both A and B    A も B も(*)、A と B のどちらも

法律では、厳密さから(大金や命にかかわることがあるので誤解をさける)

A and/or B    A あるいは B、ただし A も B も、を含む、とでもなるか?

という表現が多出する。英語も他の表現があるだろうが、日本語のほうが圧倒的に違った表現方法-助詞、接続詞-が多い。これはなにを意味するかというと、日本語の方が微妙なニュアンスを表現できるともいえるが、一方<か>、<と>、<や>、<に>、<も>の一語助詞の守備範囲が広すぎて曖昧だからとも言える。これらの一語助詞は助詞の特徴として語自体に特定の意味はない。
 
<か>、<と>、<や>、<に>は<並列助詞>、<も>は副助詞(指示助詞)(<は>も副助詞(指示助詞))という分類もある(*)。

(*)<も>と<は>の違い

<も>は別に何かがあることを暗示(to implicit)しており、いわば不定の助詞。
<A も B も>は<A かつ B>、<A と B のどちらも>と違い、A、B、以外に何かあることを暗示している。<A でも B でも)>とするとややはっきりする。すなわち<A も B も (C も)>、<A でも B でも((C も)>なのだ。
一方<は>は定の助詞で<Aは>、<Aでは>はA以外に何かあることは暗示しているをらず、すでに定まった<A>に限定してなにか言うのだ。


または - また + は
あるいは - ある + い + は。  <ある>は存在ではなく<ある日>などの不定の<ある>。<い>はなにか?
ないし ー 乃至、漢語由来
および - <及ぶ>から
ならびに - <並ぶ>から
かつ - 語源?
なおかつ - なお + かつ

エレクトロニクス、コンピュータのロジックでは
 
<OR 回路>
+ OR + = +
+ OR - = +
- OR + = +
- OR - = -

<AND 回路>
+ AND + = +
+ AND - = -
- AND + = -
- AND - = -

常識ではおかしそうなのがでてくるが、このように定義して話(デジタル信号)を進める。

すでに述べたが基本的なロジックは因果関係だ。コンピュータプログラムで多出するののは

 If xx then yy

これでコンピュータプログラムは進む。コンピュータプログラムはある意味で因果関係を使った人工的な創造だが物理学は自然界のかくれた因果関係をつきとめる学問で多くのひとが魅せられている。

さて 接続助詞の話にもどる。再三述べているように基本的なロジックは因果関係だ。

1.因果関係

a)理由、原因を示す - xxので、xxから、xxだから (<だからxxx>の<だから>は接続詞)

<ので>は<の>+<で>。 <で>一語でも理由、原因を示せる。

太郎はわがままさで花子にふられた。(太郎はわがままなので花子にふられた、が普通)。
次郎はまじめさで美代子に気に入られた。(次郎はまじめなので美代子に気に入られた)。

 しかし<で>は方法、手段をあらわす。

太郎は歩きで(徒歩で)学校に通った。
太郎は手紙で花子に愛を告げた。

したがって

太郎はわがままさで花子にふられた。 
次郎はまじめさで美代子に気に入られた。

の二例も方法、手段あるいは<どのように>をあらわす、とも解釈できる。

ところでこの<で>だが、由来は<て>だろう。

太郎は歩きで学校に通った。 <-- 太郎は歩きにて(歩いて)学校に通った。
太郎は手紙で花子に愛を告げた。 -- 太郎は手紙にて花子に愛を告げた。
太郎はわがままさで花子にふられた。 -- 太郎はわがままさにて花子にふられた。
次郎はまじめさで美代子に気に入られた。 -- 次郎はまじめさにて美代子に気に入られた。

 <にて> --> <で>は音便化

この音便化は次の例で見られる。

読みて --> 読んで
悲しみて -->悲しんで
死ぬ --> 死んで

 <それで.....>は接続詞。

 さて<ので>の接続は

名詞(体言) - Aなので (Aで、も場合によっては可)。<な>は助動詞<だ>の連用形<な>だが、<な>は発音からして<なり>由来だろう。
形容詞 - 忙しいので、ないので
形容動詞 -静かなので (静かで、でもいい)
動詞 - 見るので、読むので、行くので
助動詞 - 見たので、読んだので、行ったので (助動詞<た>)

ところで<ので>の<の>は外国人にはヤッカイのようで、以前にそこそこ日本語を話す台湾人が

Aで、忙しいで、見るで、読むで、行くで、見たで、読んだで、行ったで、と言っていた。

この<の>は形容詞、動詞に関しては名詞(体言)化の働きがある。

ヒマ(なの)より忙しいのがいい。
見るのと聞くのとでは大違い。


<xxから>の<から>は二字で一語のようだが、<か>と<ら>に分けられなくもない。<か>は <A か B>の<か>だろう。ただし<ら>は不詳。

<から>は格助詞として from の意がある。 ラテン語に奪格(Ablative case)というのがあり、日本語の訳語からすると<xxから奪う>の意からきているようだが、ラテン語格の中ではもっとも多様化が進んでしまっており、何がなんだかわからない状況で分析不可能に近い。(脚注)

日本語の<から>は格助詞として

身から出た錆)さび)
東京から出る(離れる)
今日から始める
AをBから切り離す

のように使う。理由、原因を示す接続助詞としての<から>は<xxから出る>に由来しているようで<xxから出る(出た)結果>の意だ。

太郎が何に気なしに言ったことからこの問題が発生した。
すぐ行くから待っていてくれ。
財布を忘れたから取ってくる。

上記の例の<ことから>、<から>は<ので>で置き換えられるが、<から>の方が<ので>より口語的。

<だから>、<それだから>、<であるから(して)>、<これから(して)>、<それから>、<あれから>は接続詞。 <何(なん)だから>とわけのわからない言い方もある。


b)条件を示す - 名詞(体言)、動詞、形容詞の終止形+xxと、xxとすると、xxなら、動詞、形容詞の連用形+xxたら (<するとxxx>の<すると>は接続詞)

i)仮定条件を示す - 動詞、形容詞の仮定形+ば、

<ば>が仮定条件を示すように見えるが、<行くば>、<来るば>、<するば>、<見るば>、<寝るば>はだめで<行けば>、<来れば>、<すれば>、<見れば>、<寝れば>と動詞が仮定形になる必要がある。動詞の仮定形というと仮定用専用化かというとそうではない。

急いで来て見ればだれもまだ来ていない。
よく見れば山田ではなく鈴木だった。
これだけあれば、十分。

仮定条件とともに確定条件を示す<仮定形+ば>として文法書にはこのような例がでてくる。この<見れば>仮定を表していない、ように見えるが、

急いで来たがだれもまだ来ていない。
急いで来て見たがだれもまだ来ていない。 (<見た>は単純な過去)

と比較してみると<見れば>に仮定ではないが仮定らしき感じがある。<xx (し)てみる>の<みる>は<見る>ではなく、<試(ため)す>の意があり、現実を表す他の多くの動詞とは違った見方、扱い方が必要だ。そうすると、<見た>は単純な過去、とはいいきれなくなる。

急いで来たがだれもまだ来ていない。
急いで来ればだれもまだ来ていない。

はどうか?

<急いで来ればだれもまだ来ていない> は<(あざわざ)急いで来たのにだれもまだ来ていない>、<急いで来なくてもよかった>のニュアンスがある。これもなにか仮定が含まれている感じがある。

これだけあれば、十分。

はどうか?

確定条件を表すように見えるが、

これだけあるので、十分。 

とは違う。<これだけあれば>は仮定ではないが、これまた仮定が含まれている感じがある。暗黙のうちに、まったくないか十分でない場合と比較しているのだ。

a) この十万円があれば、xx が買える。
b) この十万円があるので、xx が買える。

はどうか?

十万円は実際に手元にあるのに、b)にたいしてa)はなにか仮定が含まれている感じがある。

しかし、ちなみに

 a’) もしこの十万円があれば、xx が買える。

は<この>で示されるように十万円は実際に手元にあるので、文法違反だ。

一方<動詞が仮定形+ば>以外にも仮定はあらわせる。

上記の<条件を示>とした

名詞(体言)、動詞、形容詞の終止形+xxと、xxとすると、xxなら、動詞、形容詞の連用形+xxたら (<するとxxx>の<すると>は接続詞)も、<もし>を頭につけると、

もし xxと、xxとすると、xxなら
もし xxたら

で仮定条件を示すことになる。

<と>も上述の<ば>と同じようなところがある。<と>は仮定形でなく終止形をとる。

急いで来て見るとだれもまだ来ていない。
よく見ると山田ではなく鈴木だった。

これだけあると、十分。
これだけあるので、十分。 

この十万円があると、xx が買える。
この十万円があるので、xx が買える。

<余談>

一昔まえ、<たら、れば、じゃ話にならん> という言い方があった。つまり、仮定の話ばかりで現実的でないということだ。<にら、レバ>というご飯のおかずにかけた言い方だったと思う。

<たら>は仮定をあらわすとして、<れば>は何かというと、これも<xx(す)れば>で仮定をあらわすが、この<れ>はなにか?

行けば (五段)
立てば (五段)
座れば  (五段)
見れば (上一段)
起きれば (上一段)
寝れば (下一段)
捨てれば (下一段)

仮定形は上一段、下一段は<れ>がつくが五段は必ずしも<れ>がつかない。五段活用の場合、<仮定形 + る>は可能を示す。

読める
書ける
行ける
言える

この可能の意を維持したまま仮定形(れ)にすると

読めれば
書ければ
行ければ
言えれば

となる。

また<<たら>は仮定をあらわすとして>と書いたが、これも<た>は過去(完了)の助動詞であり、仮定といっても単なる仮定ではなく現実に反する仮定、いわば強い仮定だ。したがって、<たら、れば>は強い仮定の<たら>と可能の仮定<れば>で<まったく現実離れした話>ということになる。

結果を示す - xxたので、 xxたから

<た>は過去、完了の助詞なので結果を示すが、実際のところ、この結果は理由、原因を示すことになる。

太郎は、テスト結果が予想以上にわるかったので、悩んだ。
太郎が遅れたので、皆の出発が遅れた。

 <余談>おわり 


ii)確定条件

上述の<因果関係 - a)理由、原因を示す>の項参照。



2.<反>因果関係

通常の因果関係に反する場合の表現として逆接(逆説ではない)がある。

 逆接は接続助詞<が>で

太郎は努力したがダメだった。
正しいと思っていたが間違いだった。

しかし

太郎は失敗したが花子は成功した。
太郎は行くが花子は行かない。

の<が>は逆接ではない。

また<余談>の前に書いた<ば>や<と>似たような意で接続もする。

急いで来て見たが(見れば、見ると)だれもまだ来ていない。
よく見たが(見れば、見ると)山田ではなく鈴木だった。

これだけあるが(あれば、あると)、十分。 

はダメで

これだけあるが、十分でない(不十分)。

と逆接になる。

逆接が活躍するのは<も>だ。

やや古い言い方だが

努力するも無駄に終わった。
惜しくも二番めだった。

xx(名詞(体言)、形容詞、形容動詞)+でも

ダメでもいいからやってみる。
バカな太郎でもできる。リコウな花子でもできない。
美代子はきれいでも、みにくい花子に運動ではかなわない。(あまり論理的ではない)
この家は静かでも、駅から遠く不便だ。 (これもあまり論理的ではない)

xx 動詞の連用形+ても

この部屋は道路に面していても静かだ。
こんなに早くついても一番のりではなかった。
もう三時だ。どんなに急いでも間に合わない。

<も>が活躍するのは ”<も>と<は>” の違いでのべたように、<も>は別に何かがあることを暗示(to implicit)しており、いわば不定の助詞と関係がある。

何でも(だれでも、どこでも、いつでも、どれでも)いい。
どのようにでも(どうでも)してくれ。
あれも、これも
どれも、これも

 これでもか、これでもか

<別に何かがあることを暗示して>いれば、予想外、普通の因果関係から外れた結果が出る可能性は高い。

<しかも>、<それでも>は接続詞。


sptt


<脚注>

奪格(ablative case)
From wiki

Ablative of place

Active motion away from a place is only one particular use of the ablative case and is called the ablative of place from which. Nouns, either proper or common, are almost always used in this sense with accompanying prepositions of ab/ā/abs, "from"; ex/ē, "out of"; or , "down from". E.g. ex agrīs, "from the fields"; ex Graeciā ad Italiam navigāvērunt, "They sailed from Greece to Italy."
The whole to which a certain number belongs or is a part. E.g. centum ex virīs, "one hundred of the men"; quīnque ex eīs, "five of them."

Ablative of separation

A closely related construction is called the ablative of separation. This usage of the ablative implies that some person or thing is separated from another. No active movement from one location to the next occurs; furthermore, ablatives of separation sometimes lack a preposition, particularly with certain verbs like cáreō or līberō. E.g. Cicerō hostēs ab urbe prohibuit, "Cicero kept the enemy away from the city"; Eōs timōre līberāvit, "He freed them from fear."

Ablative absolute

The circumstances surrounding an action. E.g. Urbe captā, Aenēās fūgit, "With the city having been captured, Aeneas fled." This is known as the ablative absolute.

Ablative of personal agent

The agent by whom the action of a passive verb is performed. The agent is always preceded by ab/ā/abs. E.g. Caesar ā deīs admonētur, "Caesar is warned by the gods." This is known as the ablative of personal agent.

Instrumental ablative

Some uses of the ablative descend from the Proto-Indo-European instrumental case.

Ablative of instrument

The means by which an action was carried out. E.g. oculīs vidēre, "to see with the eyes". This is known as the ablative of means or of instrument, and is equivalent to the instrumental case found in some other languages. Special deponent verbs in Latin sometimes use the ablative of means idiomatically. E.g. Ūtitur stilō literally says "he is benefiting himself by means of a pencil"; however, the phrase is more aptly translated "he is using a pencil."

Ablative of manner

The manner in which an action was carried out. The preposition cum (meaning "with") is used when (i) no adjective describes the noun E.g. cum cūrā, "with care," or (ii) optionally after the adjective(s) and before the noun E.g. magnā (cum) celeritāte, "with great speed." This is known as the ablative of manner.

Ablative of attendant circumstances

Of kindred nature to this is the ablative of attendant circumstances "magno cum clamore civium ad urbem perveniunt" ("they reach the city to the great clamour of the populace")

Ablative of accompaniment

With whom something was done. Nouns in this construction are always accompanied by the preposition cum. E.g. cum eīs, "with them"; Cum amīcīs vēnērunt, "They came with friends." This is known as the ablative of accompaniment.

Ablative of agent

The ablative of personal agent can be more generalized when the agent is an inanimate object. In this case, the preposition ab/ā/abs is not used. E.g. rex a militibus interfectus est "the king was killed by the soldiers" with personal agents, but impersonally it reads rex armis militum interfectus erat "the king was killed by the weapons of the soldiers." This is known as simply the ablative of agent

Locative ablative

Some meanings of the ablative descend from the Proto-Indo-European locative case.

Ablative of time

The time when or within which an action occurred. E.g. aestāte, "in summer"; eō tempore, "at that time"; Paucīs hōrīs id faciet, "within a few hours he will do it." This is known as the ablative of time when or within which.

Other ablatives

Other known uses of the ablative include the ablatives of cause, of comparison, of degree of difference, of description, of place where, and of specification. It is important to note that not all ablatives can be categorized into the classes mentioned above.

Prepositions

Some Latin prepositions, like pro, take a noun in the ablative. A few prepositions may take either an accusative or an ablative, in which case the accusative indicates motion towards, and the ablative indicates no motion. E.g. in casā, "in the cottage"; in casam, "into the cottage".[1] The mnemonics "PASS DICE" and "SIDSPACE" help us to remember all of the common prepositions that use the ablative. They are: pro, ab, sub, sine, de, in, cum, and e(x).
sptt

Saturday, September 21, 2013

英語の前置詞と日本語の助詞 -2


<英語の前置詞と日本語の助詞>の続編

日本語の助詞を英語の前置詞がらみで分析してみる。前置詞は<だれが、who>、<なにを(に)、what>には直接関与しないが、<どこで、where >、<いつ、when>、<どのように、how>に関与する。

1) 方向を示す

xxに、xxへ、xxがわ (右側、左側)

xxの方。 <方>は漢語由来でたいていは<xxの方に>、<xxの方で>で<に>や<へ>が付く。
<xxがわ>の<がわ>は大和言葉だが、これもたいていは<xxがわに>、<xxがわへ>と<に>や<へ>が付く。

英語: to

2) 位置を示す

xxで(xxする)、xxに(ある、いる)

xxの上で、xxの下で、xxの中で、xxの外で、xxの脇で、xxのそばで、xxの近くで、xxの前で、xxの後ろで、xxの間で

<xxの+名詞(体言)+で>の形式。

基点-終点

xx から yy まで

英語: at、on、in、under、by、near、before、after、between、from - (up) to


<at>は<で>に近いが、その他は日本語では対応する助詞がない。

3) 時間を示す

xxに

5時に、水曜日に、三月に、秋に、2013年に
前に、後に(後で、とも言う)

時間のも<基点-終点>表現がある。

xx から yy まで

英語: at、on、in、from (since) - up (to), until, by (英語では until と by の使い分けに注意)


日本語でも英語でも時を示す名詞がそのまま時を示す副詞になれる。

きのう、今日、明日、けさ、今晩
yesterday、today、tomorrow、this morning、this evening

以上の他に英語に through、across と言う語があるがある。これは

through
xxを通って
xxを経て
xxを抜けて

across
xxを越えて
xxを横切って

と<xxを+動詞の連用形+て>の形になる。

以上でだいたい4次元(立て、横、高さ、時間)、言い換えれば、where と when はいい。

さて<どのように、how>はどうか?

<how>は<どのように>と訳されてしまうが、これだと

xxの(よう)に

で純助詞ではなくなる。英語でも<how>を示す前置詞はなく、

in this way    このように
in the way of xxx      xxx のように

となる。

<with>はある意味で<how>を示す前置詞。日本語でも<で>がこれに相当する。

It is OK with this.     これでいい。

これは<how>を示すというよりは、方法、手段を示す(ラテン語の奪格)。英語は格がないが奪格に相当する英語の前置詞は with と by。 through (xxを通じて)も使われる。

He was killed by a knife.   かれはナイフで殺された。
He has learned many important things through experiences, not through books.

<as>は前置詞ではないが、 ある意味で<how>を示す。(ラテン語の奪格)

Hanako works as an waitress.      
花子はウエイトレスとして働いている。
花子はウエイトレスで働いている、とも言える。

Taro sent some flowers to Hanako as a birthday present.
太郎は花子に誕生日の贈り物として花を送った。

<as xx>で<xxのように>(white as snow)、<such as xx>で<xxのような>になる。


いづれにしても、純助詞で前置詞代わりに活躍するのは<に>、<で>、<へ>の三つだ。これだけでは到底間に合わない。英語では上記のほかに下記のよく使われる前置詞がある。

about  - xxについて(付いて)、xxに関して
against  - xxに対反対、対抗)して、xxに逆らって

<xxに+動詞の連用形+て>の形

for  - xxのために   <xxの+名詞(体言)+に>の形式

with  - xxとともに、xxありで
without   - xxなしで    <xxの+名詞(体言)+で>の形式

前置詞句は日本語にも相当するものがほぼある。

by use of     xxを使って
in accordance to     xxにしたがって
in addition to   xxに加えて
in stead of    xxの代わりに、xxに代わって
in spite of、despite of    xxにもかかわらず(に)
because of    xxのために(原因、理由)
as a result of    xxの結果(実はこれも原因、理由を示す。結果が原因、理由になっているのだ)


sptt



Wednesday, September 18, 2013

自動詞、他動詞 - 9 <xxえる>動詞、可能動詞


このポストは<自動詞、他動詞-6 日本語の他動詞、自動詞の作られ方>の続編または付録


ドイツ語の接頭辞(prefix)-1、<er->の<挿入>部で次のように書いた。



<挿入>

これを調べているうちに日本語に関して同じような関係を探し当てた。

取(と)る - とらえる 捕らえる、と漢字を使うと見えなくなる)
掴(つか)む - つかまえる (捕まえる、と漢字を使うと見えなくなる)
押(お)す - 押さえる (抑える、と漢字を使うと見えなくなる)
踏(ふ)む - ふまえる(踏まえる、とはあまり書かない)
向(む)く - 向かえる (迎える、と書くと見えなくなる)


以上の元の動詞はいずれも五段活用の動詞で<動詞未然形+える>の形式。意味としては、

とらえる -  取って得る
つかまえる - つかんで得る
押さえる - 押さえて得る
ふまえる - ふんで得る
向かえる - 向かって得る

(<ふまえる>の辞書の解説に<すでに得たもの、現在直面するものや将来の成り行きをよく見た上で、何かをする>というがあったが、<ふまえる>に<何かをする>の意味はない。)

やや微妙だが
かかえる - か(掻)いて得る(持つ)
くわえる - 食(く)って得る(持つ)。ほとんど使わないが、銜(くわ)える、と漢字を使うと見えなくなる。

も同類だろう。 

いづれも<xxて(して)得る>、<持つ> の意だ。

単なる偶然の一致だが<er->と<える(eru)>は発音も似ている。

一方可能形は 

取(と)る - れる (取りえる、ともいえる)
掴(つか)む - める
押(お)す - せる
踏(ふ)む - 踏める
向(む)く - 向ける (向ける、は他動詞の用法もある)
掻(か)く - 掻ける
食う - 食える

となり、<動詞仮定形+る>の形式。

かなり微妙(あるいは?マーク)だが、また得る>、<持つ>とあまり関係がなさそうだが、

かまえる - かまう(噛(か)む、は違いすぎる)
こらえる - 凝(こ)る 
さかえる - 咲く。 <栄える>と漢字を使うと見えなくなる。
ささえる - さ)す - せる  (<差す>は<差し上げる>の<差す>だ
たたえる - 立つ - 立てる
つかえる  - 付く、付いて得る。<仕える>と書くと見えなくなる。
ひかえる -  引く - 引ける


も元の動詞は五段活用の動詞で<動詞未然形+える>の形式で、意味が元の動詞と関連はあるが意味は違う。但し、一見関連なさそうなのもある。

思う(古くは、おぼゆ、おもほゆ) - おぼえる(覚える、と漢字を使うと見えなくなる)
思う - 思いえる --> 思える (可能)

<思う>は五段活用だが<おぼゆ>、<おもほゆ> 何活用か?<おぼわず>、<おもほわず>だと五段活用、<おぼえず>、<おもほえず>とも言いそうで、下一段活用になる思える (可能)、<思わせる>は使役になる。 

おぼえる -  思(ひ)える、思って得る (?) 

(別途検討)
 
<挿入>-終わり



上記<挿入>の中の例も語源は別として、

かまえる - <かまう(ふ)>からか。<かまわない>としてよく使う。
こらえる - <こらう(ふ)>からか。
さかえる  - <さかう(ふ)>からか。
ささえる  - <ささう(ふ)>からか。
たたえる - <たたう(ふ)>からか。
つかえる  - <つかう(ふ)>からか。
ひかえる -  <ひかう(ふ)>からか。

と考えるのが妥当だろう。

そのほかにも<える(得る)>関連として

あたえる  <-- あたう(ふ)
かなえる   <-- かなう(ふ)
きたえる   <-- きたう(ふ)
こさえる   <-- こさう(ふ)、こす
こしらえる  <-- こしらう(ふ)、こしる
そなえる   <-- そなう(ふ)、そぬ
そびえる  <-- そびる、そぶ、<そばだつ>と関連がありそう。<える(得る)>とはあまり関係ない。
そろえる   <-- <そろう>の他動詞。 そろいえる --> そろえる
たずさえる  <-- たずさう(ふ)
----
形容(詞、動詞) がらみでは

あまえる <-- あまい

(追加予定)

などがある。


<xxえる>動詞についてもう少し検討してみる。

 五段活用の動詞で<動詞未然形+える>の形式、と書いたが、<える>を動詞とすると、文法上は<動詞連用形>+<える>が規則で、上記の例は例外といえる。例外でも存在し使われるので亜流とする。本流はもちろん<動詞連用形>+<える>だ。


1)可能形

上記の挿入部で

"
一方可能形は 

取(と)る - れる (取りえる、ともいえる)
掴(つか)む - める
押(お)す - せる
踏(ふ)む - 踏める
向(む)く - 向ける (向ける、は他動詞の用法もある)
掻(か)く - 掻ける
食う - 食える

となり、<動詞仮定形+る>の形式。


とも書いたがのもとの動詞はすべて五段活用。もう少し調べてみる。

<+える>可能を表す。<動詞連用形>+<える>

自動詞
行く(五段活用) --> 行きえる --> 行ける。 <行かれる>は主に被害受身、尊敬。
歩く(五段活用) --> 歩きえる --> 歩ける。 <歩かれる>は主に被害受身、尊敬。
上がる(五段活用) --> 上がりえる --> 上がれる。 <上がられる>は主に被害受身、尊敬。
なる(五段活用) --> なりえる --> なれる。 <なられる>は主に被害受身、尊敬。
助かる(五段活用) --> (助かりえる) --> (助けれる)。 <助けれる>は他動詞<助ける>の可能。<助けられる>も他動詞<助ける>で可能にも受身にもなる。一方<助かる>は主語がないとも言える変な動詞で別途検討とする。
来(く)る(変格活用) --> (きれる) --> <来(こ)れる>は可能。 <来られる>は可能、許可、被害受身、尊敬。 仮定は<来(く)れば>。
落ちる(上一段活用)  --> 落ちえる --> 落ちれる、落ちられる。 
起きる(上一段活用)  --> 起きえる --> 起きれる、起きられる。 
いる(上一段活用)  -->(いえる)--> <いれる>は可能、許可。<いられる>は可能、許可、被害受身、尊敬。
できる(上一段活用)  -->できえる --> (でける)
解ける(下一段活用)  --> 解けえる --> (解けれる)
(問題が、謎が、紐が、氷が) <解ける>自体自発と可能の意がある。
寝る(下一段活用)  --> 寝える --> <寝れる>可能、許可。<寝られる>は可能、許可、被害受身、尊敬。
ある(五段活用) -->ありえる --> (あれる) (<あらない>ではなく<あらず>)

他動詞
書く(五段活用)  --> 書きえる --> 書ける 。  <書かれる>は主に受身。
読む(五段活用)  --> 読みえる --> 読める。 <読まれる>は主に受身。
切る(五段活用)  --> 切りえる --> 切れる。 <切られる>は主に受身。
知る(五段活用) --> 知りえる --> 知れる。  <知られる>は主に受身だが、<知れる>も主に受身だ。
聞く(五段活用) --> 聞きえる --> 聞ける。 <聞こえる>は<xxが聞こえる>で自動詞。
見る(上一段活用)  --> 見える --> 見える。 <見える>は<xxが見える>で自動詞。
着る(上一段活用)  --> (着える) --> 着れる、着られる。)。 <着られる>は受身にもなる。
食べる(下一段活用) --> 食べえる --> 食べれる、食べられる。 <食べられる>は受身にもなる。<食べれる>は間違い、邪道といわれるが、<食べられる>が可能も受身も(そして尊敬も)表してしまうので、可能には<食べれる>を使ったほうがよさそう。
たずねる (下一段活用) --> たずねえる --> たずねれる、たずねられる。 <たずねられる>は受身にもなる。
捨てる(下一段活用) --> 捨てえる --> 捨てれる、捨てられる。 <捨てられる>は可能にも受身にもなる。
する(変格活用)  --> しえる --> しえる

五段活用は大体規則的。大体<動詞連用形>+<える>でも意味は通じ、使える。可能形を<仮定形+える>というよりは<連用形、xx i>+<eru>  --> <xx eru>の変化と考えた方がいい。
上一段活用、下一段活用、変格活用はやや複雑だが、これらも大体<動詞連用形>+<える>でも意味は通じ、使える。<える>自体は下一段活用だ。

3音節 の<xx える>


機械的な作業だがやてみる。

あえる - 会える (会う)、和える(料理用語)(他)
いえる - 言える(言う)、射える(射る)、癒える(病気用語)(自)
うえる - 植える(他、飢える(自)
ええる - (   )
おえる - 終える(他、負える(負う)、追える(負う)

かえる - 帰る(自)、買える(買う)、飼える(飼う、孵る(自)、変(替、代)える(他
きえる - 消える(自)
くえる - 食える 食う
けえる - (   )
こえる - 越える、肥える(自)、請える(請う)。肥える(自)の他動詞は<肥やす>。

さえる - 冴える
(自)
しえる - しえる (する)
すえる - 据える(他)、饐える(自)、吸える(吸う
せえる - (   )
そえる - 添える、沿える(沿う)

たえる - 絶える(自)、耐える(<耐える>自体に可能の意がある)(自、他)。絶える(自)の他動詞は<絶やす>。
ちえる - (   ) 
つえる - (   ) 
てえる - (   )
とえる - 問える(問う)

なえる - 萎える(自)
にえる - 煮える(<煮える>は自動詞。<煮れる>は可能)
ぬえる - 縫える(縫う)
ねえる - (   )
のえる - (   )

はえる - 生える(自)、映える(自)、這える(這う)。生える(自)の他動詞は<生やす>。
ひえる - 冷える(自)。他動詞は<冷やす>。
ふえる - 増える(自)。他動詞は<増やす>。
へへる - (   )
ほえる - 吠える(自)

まえる - 舞える (舞う)
みえる - 見える(自、可能にもなる
むえる - (   )
めえる - (   )
もえる - 燃える(自、可能にもなる)、萌える(自)。燃える(自)の他動詞は<燃やす>。

やえる - (   )
ゆえる - 結える (結う)
よえる - 酔える (酔う)

わえる - (   )

(  )内に終止形を入れたものは可能形。

a) 語呂が悪いためか<xx e>+<える>という3音節 の<xx える>という動詞はない。
b) <xx える>可能形もけっこうあるが、そうでないのもけっこうある。
c) 可能以外では自動詞が多い。未然形+<える>には自発の意がある。
d) 他動詞が<xx やす>となる動詞はもともと<xx う(ふ)>ではなく<xx ゆ>だったようだ。肥ゆ、絶ゆ、生ゆ、冷ゆ、増ゆ、燃ゆ。


2)古語の終止形<-u>活用の連用形<-i>+<える>が<-eru>に変化

染む  --> 染みえる --> 染める(他動詞)、染まる(自動詞)
答う --> 答ええる -->答える (他動詞のようだが、xxに答える。xxが答える、で自動詞)
決む --> 決みえる --> 決める(他動詞)、決まる(自動詞)
定む  --> 定みえる --> 定める(他動詞)、定まる(自動詞)
燃(も)ゆ --> 燃ええる --> 燃える(自動詞)、燃やす(他動詞というよりは<燃ゆ>の使役形)

<まる>(自動詞)、<<める>(他動詞)は規則的だ。<まる-める>動詞ペアといえる。


3)<える>の他動詞化 (自動詞-他動詞ペア)

上がる - 上げる      上がる -->上がりえる -->上げれる
開(あ)く - 開ける      開く -->開(あ)きえる --> 開(あ)ける
当たる - 当てる       当たる -->当たりえる -->当てれる
埋まる - 埋める      埋まる -->埋まりえる -->埋めれる
終わる - 終える      終わる -->終りえる -->終えれる
変わる、代わる、替わる - 変える、 代える、替える
変わる -->変りえる -->変(代、替)えれる
決まる - 決める      決まる -->決まりえる -->決めれる
下がる - 下げる      下がる -->下がりえる -->下げれる
絞まる - 絞める      絞まる -->絞まりえる -->絞めれる
閉(し)まる - 閉める    閉(し)まる -->閉(し)まりえる -->閉(し)めれる
染まる - 染める      染まる -->染まりえる -->染めれる
立つ - 立てる (立たす)。<立たす>は<立つ>の未然形<立た>+す。
立つ -->立ちえる --> 立てる
貯まる -貯める       貯まる -->貯まりえる -->貯めれる
溜まる - 溜める      溜まる -->溜まりえる -->溜めれる
縮(ちぢ)む - 縮める   縮む --> 縮みえる --> 縮める
掴(つか)まる-、掴む    掴まる -->掴まりえる -->掴めれる  <掴まれる>は<掴む>の受身、可能形。
付く - 付ける        付く -->付きえる --> 付けれる
詰まる - 詰める      詰まる -->詰まりえる -->詰めれる
とどまる - とどめる    とどまる -->とどまりえる -->とどめれる
閉じる - 閉ざす <閉じる> は<xxが閉じる>、<xxを閉じる>で自/他動動詞。
閉じる-->閉じえる -->閉じれる
止まる - 止める              止まる -->止まりえる -->止めれる
泊まる - 泊める     泊まる -->泊まりえる -->泊めれる
始まる - 始める     始まる -->始まりえる -->始めれる
はまる - はめる     はまる -->はまりえる -->はめれる
向く - 向ける、向かす  向く -->向きえる --> 向ける
休まる - 休める。 <休む> 休まる -->休まりえる -->休めれる

可能の<える>が自動詞の他動詞化として働く例は多くない。

開(あ)く -->開(あ)きえる --> 開(あ)ける
立つ -->立ちえる --> 立てる
付く -->付きえる --> 付ける
向く -->向きえる --> 向ける

<える>の主要な働きは可能だ。

しかし、以上の例でも 一部重複するがxx ゆ動詞ペアがあり、<まる-める>、<がるーげる>、<たるーてる>、<わるーえる>もペアで、<める>、<げる>、<える>の<xx eru>は他動詞組だ。

特に<まる-める>は特徴的で

攻む - せまる - せめる
絡む - からまる - からめる
溜む - たまる - ためる
止(と)む - とまる - とめる
止(や)む - やまる - やめる

また<まる-める>は形容詞の動詞化で使われ、きわめて規則的。

あかい ーあかまる - あかめる
かたい -かたまる - かためる
たかい - たかまる - たかめる
ひろい - ひろまる - ひろめる (ひろがる - ひろげる、というペアもある)
せまい(せばい) - せばまる - せばめる


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